2010年09月18日
第5回大阪創造都市市民会議 ミニレポート
8月28日に大阪市中央公会堂で第5回大阪創造都市市民会議を開催しました。
第1部の公開シンポジウム 「創造都市・大阪と美術館の今後」では、まず、京都橘大学の上原恵美教授と本会世話人の菅谷富夫氏から報告をいただきました。
上原氏からは滋賀県を中心とした各地の公立美術館の動向の紹介や都市のインキュベーション機能をもつ場としての公共ホール・美術館が重要であり、インキュベーション機能をもつ施設を備えていることが都市の条件であるというご指摘をいただきました。
また、越後妻有アートトリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭、水都大阪2010、愛知トリエ
ンナーレの動向を踏まえた上で「地域から生まれるアートが都市や地域を創造する」とのご指摘もいただきました。
菅谷氏からは大阪市立近代美術館の構想について、当初1997年頃に開設予定であったが、市の財政が厳しくなり、すべての公共施設建設が一旦停止となった。美術館の隣にオペラハウスを建設し、地域全体を活性化させる予定であったが、うまくいかなった。準備期間も10年を過ぎ、あるべき美術館像や建設予定地である中之島の状況も変化してきている。現時点の大阪市立近代美術館の目指す方向性としては都市の文化装置としての美術館であり、「white cube」から「urban passage」へと構想を改めた。「urban passage」とは中之島に通路を作るイメージである。展示室ならもうあるじゃないかという批判もある中で違う価値を提示する美術館を目指しているとの報告がありました。
後半は本会世話人の萩原雅也氏をモデレーターに質疑応答を行いました。
Q1 大阪に足りない部分はなにか。
上原氏
水都大阪に絞って言うと、190万人集客したことで総括される大阪らしさがダメな点。とんがったものが無い印象。訴える力・切り込んでくる物が無い。「志」が感じられなかった。他の都市ではアートによって地方分権を促す心意気をバシバシ感じたが、大阪にはそれが無い。
Q2 美術館は観光資源となり得ると考えるが、どう考えるか。
菅谷氏
もちろん観光資源となると考えている。市民が楽しめるものは観光客も楽しめるはずである。
Q3 サントリー美術館[天保山]を大阪市としてどう活用するのか。
菅谷氏
サントリー美術館は港湾局管轄であるが近代美術館準備室としては、室の予算内で協力する。サントリー美術館を市立近代美術館へ転用することは難しい。近代美術館では4400点のコレクションがあるが、これらの常設展示と企画展示を行うことは、サントリー美術館の面積では難しい。
Q4 美術館の評価の指標は。
上原氏
定量も定性も難しい。文化施設の指標では双方見て評価を行う。量ばかり追い求めるといずれは量も無くなる。
Q5 政治家のリーダーシップについて
上原氏
滋賀県知事は三代続いて文化への造詣が深くこれが大きかった。しかし、知事がすべてのコレクション購入を許可した訳ではなく、「フラミンゴ」購入には最後まで抗戦しサインは逆さに書いた。めくら判であることの意である。7000万円の絵を購入する際には議会に諮ったが、議員からの抗議に対し知事は「文化部長を信じてくれませんか」と回答した。
菅谷氏
生活困窮の人が多い中で、本当に近代美術館を作る意義があるのかという質問は沢山ある。展示のための美術館であれば作る必要は無い。10年後、20年後を見据えた美術館でありたい。
上原氏
創造都市を考える上では、都市で生まれ育った子供たちが大人になったときに抽象的な文化芸術を理解する力をもっているか、そのような芸術に造詣の深い人々が、人口の何パーセントいるかが大きな問題になる。今年3月にびわ湖ホールの予算を福祉予算に振り替える案が議会で出たが、これに最も反対したのは福祉関係者。文化や芸術の無い福祉はあり得ない。
シンポジウムの最後に本会代表世話人の佐々木氏からコメントがありました。
万博後の大阪は大事なときに大事な施設を作れなかったことに悲劇が始まった。今この時代に作れるか否かが20~30年後の大阪を決める。文化か福祉かという問題については、障がい者やホームレスなどに対してアートによる福祉の支援を行うことができる。いつまでもアートと福祉を切り離して考えているのでは、解決しない。事業評価について芸術・文化に対する評価を第三者機関で行う。アーツカウンシルを設置していることは世界のスタンダードである。
第2部の総会では、昨年度の事業や会計などについて報告があり、今後の市民会議の方向性について議論が行われました。
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